サイアノタイプ技法というのは紫外線による鉄の還元を利用した写真・複製技法です。以前は機械図面や建築図面の複写として使われていたそうですが、現在は実務に使われることはほとんどなく、科学教材やアート作品として一部利用されている程度とのこと。
特徴は綺麗な青色で、光の当たる度合いによって濃淡が変わってきます。費用はかかりますが、行程はわりと簡単で、ネガや植物など模様になりやすいものを試薬にひたした紙の上におき、太陽光で露出し、洗って乾かすだけ。紙だけではなく、布や石、木材にもプリントできるというメリットもあります。
で、このサイアノタイプ技法を映像デザインという授業で実際にやってみたんですが、ホスピタルアートに使えないものかとふと思いまして。
以前香川小児病院のホスピタルアートについて触れましたが、参加した子供の感想を見ていて、こういった参加型ホスピタルアートで重要なのは、患者さん自身に分担があることなのかもしれないなと。絵を描くのが楽しいだけでなく、自分にもできることがあるのが嬉しい。
ただみんなでひとつの作品を完成させる場合の問題点として、個人の得意不得意で出来に差がでてしまうことが考えられます。みんなで一緒に楽しめば良いという人と、クオリティを重視する人の間で温度差が生まれる可能性があるかもしれない。
ここでサイアノタイプ技法なのですが、作品を作る際にも作業が簡単なので技術にあまり差がでないのではないかと。各自好きなものを置いても図が綺麗に浮かび上がるし、光の照射時間や明暗によって濃淡が違ってくるので、既存の模様を利用しても同じ作品にならないです。また、色が青のグラデーションに限定されるので、一人一人がばらばらに作ったものを並べても統一感がでます。
あと色についてちょっと思ったこと。
銀島さん曰く青というのは色覚障害があっても判別しやすい色なのだそうで。サイアノタイプによる青色なら発色が良く、暗くなりすぎないので色覚障害があっても、制作と作品両方楽しめそうだなと。またれみれみさんが色の持つイメージについて書いてましたが、 青は清涼感があるので病院のイメージを損なわずに展示できます。
展示については、壁に直接描くのと違って作品の入れ替えができるというメリットも。
試薬を使う下準備は事前にすませておき、安全面にしっかり考慮すれば、患者さんのための参加型ホスピタルアートとして十分成り立つのではないかなと思います。
参考:
Wikipedia 青写真の項目(2011/07/23)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%86%99%E7%9C%9F
Noriaki Hayashi Art Works(2011/07/24)
http://nori884.net/index.htm
こちらはサイアノタイプについて調べてて気になったものもの。
この人の作品で10cm四方の紙をタイルのように並べているものがあるんですが、
病院の壁でこういった展示をしてみても良いのではないかなーと。
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